大甕ゆーとぴあ通信

「風邪が流行っている。昔から、風邪は万病のもとなどと言われ、たいてい、風邪をひいたら早く治そうと思う。しかし、風邪は治すものではなく、経過させるものであるという考え方がある。「野口整体」の創始者のして有名な、故野口晴哉さんの「風邪の効用」(ちくま文庫)によると、なぜ風邪をひくかというと、体のどこかに偏り運動が行われて、働きすぎがあるからである。この偏り運動の修正や、偏りによる滞在的疲労の調整を行ってくれるのが風邪で、体の掃除や安全弁としての働きをもっている。(中略)興味深いのは、風邪は体の大掃除とはいえ、きれいにひかなくてはいけないとする。ひき始めは風呂に入ろうが、仕事をしようがかまわないが、風邪が下り坂に転じたときにこじらせると長引いてどうにもならなくなる。風邪も着地がむずかしいからその後半に全神経を集中する。お腹をこわしても、風邪をひいても回復期が大事で、うまく病を終えることが下山を完結させることになるという。人間という生き物の見方に深みがある。(後藤有能(医学ジャーナリスト)-風邪は体を大掃除する自然の治療行為-より)」

どうか焦らず、体の中を大掃除していると思えば、少し気持ちは楽になりそうです。